マツダ初のクリーンディーゼル専用車として登場したCX-3。ガソリンモデルの登場を待ち望んでいる方も多いと思いますが、ガソリンモデルが発売される可能性はあるのか、考えてみました。
ブランド戦略面での実現性
まず、そもそもマツダは何故、CX-3をクリーンディーゼル専用車としたのでしょうか。答えは
こちらの開発者インタビューに書かれていました。
"一つはクロスオーバーで求められる力強い加速感や環境性能、それに経済性が高次元でバランスしているということ。もう一つは特定のポジションにしっかりと置きたいと思いましたから、その部分を先鋭化したかった。それが理由です。ガソリンエンジンをラインナップすると数は出るかもしれませんが、価格帯が広がってポジショニングがボケます。会社全体としてブランドをプレミアム化させていくという中で、位置づけを確実にしたかったのでディーゼルだけにしました。"
CX-3発表当初は、1つめの理由しか語られていなかったと思うのですが、上記記事では、「特定のポジションにしっかり置きたい=ブランドをプレミアム化させる中で、位置づけを確実にしたかった」ということが2つ目の理由として語られています。
1つ目の理由だけであれば、ニーズの変化等に応じてガソリン車を投入することも可能性として十分あり得ますが、2つ目の理由が絡んでくると、なかなかガソリン車の投入は難しいのではないかと思わざるを得ません。マツダにとっては、「ガソリン車を投入すること=ブランドをプレミアム化させる中での(CX-3)位置づけが曖昧になること」を意味します。販売店の改革も含めてブランドの構築に取り組んでいるマツダにとって、そんなに簡単に方針転換できるような話ではないような気がします。
こちらの開発者インタビューにも似たようなことが書かれています。
"新しいジャンルの商品として、はっきりとしたポジションを作りたかった。価格に幅があって、どこに重点があるかわからない商品ではなく、芯の通った車にしたい。価格を重視した車はデミオがあるので、(CX-3は)その上のプレミアムな層の新しいお客さまを取り込みたい"
こちらの記事には、「価格を重視した車はデミオがある」との記述があります。CX-3のディーゼルが高いと感じる人は、デミオディーゼルなりガソリンなりを選んでください、ということなのでしょう。
価格戦略面での実現性
ここまでで、CX-3のガソリンが出る可能性はかなり低そうだな、というのが正直な感想ですが、価格戦略面での実現性を考えてみました。
CX-3のディーゼルとガソリンが併売されているイギリスでの価格をみると、1.5Dが2.0Gより900ポンド(日本円換算で約17万円)高い価格設定となっています。日本でもイギリスと同程度の価格差で販売されると仮定した場合、ディーゼル補助金や税金、燃費の差を考慮すると寧ろ1.5Dの方が割安になります。だからといって、さらに10万~20万円も価格を下げてしまうと、アクセラやCX-5の2.0Gとのバランスが崩れてしまいます。
前者(イギリスと同程度の価格差)ではわざわざ2.0GのCX-3を選ぶ人は殆ど見込めないでしょうし、後者(更に10万~20万円下げる)だと、ブランド価値が毀損されてしまいますので、価格戦略面でも、CX-3 2.0Gの居場所はなさそうです(かといってわざわざ国内市場のために1.5Gを開発することも考えにくい)。
それでも可能性はないか
CX-3単体で目標通りの台数(月販3,000台)を達成できなくても、マツダとしてはデミオや他のガソリンモデルが売れていれば問題ない訳ですから、余程のことがない限りCX-3のガソリンモデル投入は無い気がします。マツダ全体として販売目標を下回るようだと可能性が出てくるかもしれませんが、今のところはその気配もなさそうです。