VWの排ガス不正問題で、マツダを含む他のディーゼル乗用車メーカーにも疑いの目が向けられていますね。
マツダに関しては、公式に「不正はない」とリリースされているので安心して良いかと思いますが、それでも「本当に今後も乗り続けられるのか」「マツダはディーゼル車の国内販売を継続できるのか」気になるところですので情報を集めてみました。
今乗っているディーゼル車に今後も乗り続けられるのか?
今回、VWの問題に併せて、他メーカーの車についても「(イギリスでの)実走行によるテストで規制値の数倍のNOxが排出されていた」というようなネット情報が出ています。ただし、これはあくまで規制とは無関係の「独自の」テスト結果です。つまり、この結果が悪かったからと言って直ちに公道でディーゼル車が走れなくなることはあり得ません(法的な排ガステストさえパスしていれば問題ないわけです)。
ただし、法的なテストと実走行時の排ガス排出量の乖離が大きいということであれば、法的なテストが厳しくなり、その結果、パスできなくなった車が走行できなくなる可能性はあります。ただ、これまで「クリーンディーゼル」として補助金を出して普及促進してきたものを「やっぱり排ガスが汚かったです」と言って走行不能とする可能性はほぼないと思われます。
マツダはディーゼル車の国内販売を継続できるのか?
まず、今回の件で、国内の排ガス規制がどのようになるのか調べてみたところ、一部には、
「実走行テストの導入を検討」という毎日新聞の記事がありましたが、全く具体化する気配はなさそう(注1)です。
しかも、その後の記事では、
「(メーカーを通さず利用者から車を借りて行う)サンプリング調査(注2)の実施を検討していきたい」と明確にトーンダウンしています。
(注1)欧州では2017年から実走行テストが導入されるようですが、これも検討から数年が経過してようやく導入が決まったもので、国内において、これを1~2年かそこらで実現することはまず不可能です。
(注2)因みに、
サンプリング調査については、マツダも自主的に行っているようなので、サンプリング調査の実施による影響は(少なくともマツダについては)ないと考えてよいと思います。
また、今回との問題とは別に、
「政府は2018年から現行より厳しい排ガスの測定方式を導入することを決めていた」ものの、「複数の関係者によると、新しい測定方式そのものの導入時期を前倒しすることは、車両メーカーの開発スケジュールからすると難しい」という記事もあります。
これらを踏まえると、2018年より前に、車両メーカーの開発スケジュールを狂わせるような規制の変更は考えにくい(つまり、マツダは少なくとも2018年まではディーゼル車の販売を継続できる)と思われます。
2018年以降、排ガスの測定方式が変更されるとどうなるのか?
まず、新たな測定方法は、現行とどのように変わるのでしょうか。確定はしていませんが、
最新の案をみてみました。
要約すると、
・現行の排出ガス試験サイクル(JC08モード)を、世界統一試験サイクルWLTCに変更する。
・排出ガスレベルは、現行のポスト新長期規制(平成 21 年規制)の排出ガスと同等レベルを確保。
・WLTCモードでは、現行排出ガス試験と比べて負荷が大きくなるため、これを考慮した排出ガス許容限度目標値を設定。
・ディーゼル車のNOx許容限度目標値については、現行値(0.11g/km)を適用すると厳しすぎる。一方で、全ての車両の排出ガス値を考慮して目標値を定めると、甘くなりすぎる。
・このため、現在の NOx 低減対策技術の平均的な浄化性能を指標とした設定(0.15g/km)にする。
ということです。噛み砕くと、「現行より極端に厳しくなることはない」ということです。これならマツダもおそらくクリアできる(つまり、2018年以降もディーゼル車の販売を継続できる)でしょう。
マツダも公式リリースで新基準への対応を進めていると発表しています。
今後、今回の問題を受けてまた動向が変わる可能性はありますが、仮に実走行テストが行われるにしても規制値をそれに合わせて引き上げる、という形で片付くのではないかなと思います。小さなメーカーとはいえ、マツダが潰れることを国も望んではいないでしょうし、国内で大気汚染が問題になってるわけでもないですしね。