マツダがスカイアクティブDを出して以降はすっかり影が薄くなっていますが、ホンダも自前のクリーンディーゼルエンジンを持っています。以前は、一部の自動車評論家を中心に、クリーンディーゼルを搭載した欧州シビックの国内導入を求める動きがありましたが、より安価で高性能なスカイアクティブD搭載車が国内市場に投入されたことで、こうした動きは一気に立ち消えてしまいました。
現行のホンダのクリーンディーゼルエンジン(i-DTEC)は、1.6L、最大出力160ps、最大トルク35.7kgm、CO2排出量135g/kmというスペックとなっています。CX-5 2.2D(欧州版)が150ps、38.7kgf、139g/kmであることを考えると、(価格は別として)性能面で大きく見劣りすることはなさそうです。
こうした情報を知ってしまうと、「このエンジンを国内投入すればいいのに・・・」などと考えたりするわけですが、これまでは、「トランスミッションおよび排ガス規制の問題があるから実現は難しい」というのが実情でした。ただし、最近、少し状況に変化がみられている(気がする)ので、まとめてみたいと思います。
まず、トランスミッションについてです。これまでホンダのクリーンディーゼル車に組み合わされるトランスミッションはMTしかなく、MT搭載車の販売比率が極めて低い国内市場への投入は絶望的でした。もっとも10月のパリモーターショーで発表されたCR-V改良モデルには9速ATが設定されており、僅かではありますが、国内導入の可能性が広がっているといえます。
次に、排ガス規制についてです。現状、i-DTECは、(正確なソースを見つけられませんでしたが)EURO5という1世代前の排ガス規制にしか対応していません。ただし、来年夏にi-DTECを搭載したHR-V(国内名ヴェゼル)を欧州市場に投入するということで、少なくとも来年夏時点ではEURO6への対応目処がついているようです(EURO6に対応していないと新型車にi-DTECを搭載できない)。
EURO6と国内の排ガス規制(ポスト新長期規制)は厳密には異なりますが、EURO6に対応できていれば、新ポスト長期規制への適合も然程難しいものではないようです。
以上を踏まえると、来年夏に欧州で発売されるHR-V(ヴェゼル)等のクリーンディーゼルモデルは、「国内に持ってくれば、ほぼそのままでも販売できる」ものになりそうです。
ただし、実際は、マーケティング(国内はハイブリッドを主力としたい)とコスト(マツダと比べて後処理装置が高価)の問題があるため、導入可能性は極めてに低いでしょう。とはいえ、国内のクリーンディーゼル市場が盛り上がってくれば、(ホンダはハイブリッド車のリコール問題で苦戦している最中でもありますし、)国内導入もあるかもしれません。